2026/08/13 11:25
そして、もうひとつのお楽しみ
ラリック美術館の入り口を入って左手には、なんとオリエント急行の客車があります。

こちらでは、実際の車両の中でお茶を楽しむことができます。
実は私は幼い頃から、アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』が大好きでした。
小説も映画も何度も楽しんできたので、今回、実際のオリエント急行の車内に入ることができたのは、私にとってラリック美術館と同じくらい楽しみにしていたことでした。
そして実際に車内へ入り、座席に腰を下ろした瞬間。
「ここで、あの事件が……!」
と思ってしまい、なんとも言えない感激がありました。
もちろん、実際に事件が起こったわけではありませんが(笑)、車内の雰囲気があまりにも映画や小説で想像していた世界そのもので、
「この席にあの登場人物が座っていたら……」
「このあたりで誰かが騒ぎ出すのでは……」
などと、ついつい物語の中に入り込んでしまいます。
お茶をいただきながら、頭の中では『オリエント急行殺人事件』の場面を何度も思い返していました。

本当に、誰かが突然「大変です!」と呼びに来るのではないかと思ってしまうほど、雰囲気のある車内でした。
それにしても、この車両がはるかヨーロッパから日本へ運ばれ、さらに箱根の山の上までやって来たことを考えると、それだけでも相当な労力だったのではないでしょうか。
現在、私たちがこうして実際に中へ入り、当時の空気を想像しながら楽しむことができるのも、こうした歴史的なものを残してくださった方々のおかげなのだな、と改めて感じました。

今回のラリック美術館訪問では、たくさんの美しい作品を目にすることができただけでなく、作品が生まれた時代や、それを取り巻いていた文化、そして遠いヨーロッパから日本へ渡ってきたものの歴史まで、いろいろなことに思いを巡らせる時間となりました。
普段、アンティークのグラスを扱っている私にとっても、実際にたくさんの作品を目にすることはとても刺激的でした。
やはり写真で見るのと、実物を目の前にして見るのとでは、感じるものが全く違います。
ガラスの質感、光の入り方、細かな細工、そして実際に手に取ったときの大きさや存在感。
そうしたものは、画面越しではなかなか伝わりません。
これからも機会があれば、実際に美術館や古い建物などを訪れながら、アンティークが生まれた時代の空気を少しずつ感じていきたいと思います。
そして、そうした経験を、普段お店でご紹介しているアンティークの品々にも重ねながら、皆さまにその魅力をお伝えしていけたらと思っております。
